ストップ、傷害手当金の不正受給!!社会保障審議会医療保険部会が不正受給対策の強化を確認
2014/06/24 法務相談一般, 民法・商法, その他
事案の概要
23日、社会保障審議会医療保険部会は、傷病手当金などの不正受給対策を強化することを確認した。現行の休業前の賃金を実際よりも高額に申告することで、高額受給が可能となる制度を見直す方向だ。
傷病手当金とは、健康保険法等を根拠に、健康保険等の被保険者が病気やケガなどにより業務に就くことが出来ない場合に、被保険者の生活を保障するための制度である。労働災害保険の支給対象が「業務上や通勤途上での」病気やケガになっているのに対し、傷病手当金は「業務外の」病気やケガで療養中であることが支給要件となっている点で異なる。傷病手当金を受け取るためには、
①業務外の病気やケガで療養中であること
②療養のための労務不能であること
③4日以上仕事を休んでいること
④給与の支払いがないこと
の全ての給付要件を満たす必要があるが、支払われる給付期間および額は支給開始日から最長1年6ヶ月、標準報酬日額の3分の2に相当する額と、長期且つ高額だ。
昨今、ケガをしたと偽って傷病手当金をだまし取る事件が頻発している。例えば、2011年、大阪では、不正受給を目的に実態のないペーパー会社を設立し、従業員らに指南して虚偽の申請を行わせ、不正受給を受け取るという組織ぐるみの事件も起きている。支給額は仕事を休む前の賃金を基準にして算定されるため、本件でも、支給額が最高額となるよう、申請書類には架空の賃金額が記載されていた。このような状況を受けて今回、社会保障審議会医療保険部会が制度を見直す運びとなった。厚生労働省は、今後同部会が提案した制度見直し案を踏まえて、来年度の通常国会に関連法改正案の提出を目指している。
コメント
傷害手当金は病気やケガなど、やむをえない健康上の理由で業務に就くことができない場合に被保険者の生活を保障するための制度である。ただでさえ、健康保険の財政が厳しく、健康保険料が増加傾向にある中で、傷害手当金の不正受給行為は言語道断の行為である。今後このような事件が起きぬよう、社会保障審議会には、十分な対策を練ってもらいたい。
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