企業における外国人材の活用のチャンス?
2015/09/03 外国人雇用, 法改正, その他
1 概要
昨年国会において可決された外国人在留資格整備に係る改正法(出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律)が、平成27年4月1日に施行されました。
今回は日本における外国人の就労規制について取り上げたいと思います。
2 改正前の入管法による規制枠組み
外国人が日本に在留して職業活動に従事するには、「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」という)に定められている17種類の在留資格のどれかを取得していることが要求されていました。
在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格は、1外交、2公用、3教授、4芸術、5宗教、6報道、7投資・経営、8法律・会計業務、9医療、10研究、11教育、12技術、13人文知識・国際業務、14企業内転勤、15興行、16技能、17特定活動(ワーキングホリデー、技能実習生、EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士等)、となっています。
例えば企業においてシステムエンジニアとして外国人就労者を受け入れるとなると技術、の在留資格に該当し、また通訳として雇い入れるには、人文知識・国際業務の在留資格に該当する必要がありました。
3 改正法の仕組み
①国際的な人材活用の企業ニーズに合せて、技術と人文知識・国際業務の在留資格が一本化し、包括的な「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に変更されました。これにより、当該在留資格一つで理系・文系業務どちらにも活用することが可能となり、外国人材を企業が柔軟に活用しやすくなりました。
②従来の在留資格「投資・経営」が「経営・管理」に改められました。従来資格では外国資本との結びつきが要件とされていましたが、新しい区分「経営・管理」ではその要件がなくなり国内資本企業の経営管理を同在留資格によって行うことが可能となりました。
これにより、外国人の経営能力を日本企業において活用することが、従来よりも幅広くできるようになりました。
③「高度専門職」という区分が創設され、高度な専門知識・技能を持った者で一定期間以上日本に滞在しているものについては、無期限の在留資格を取得することも可能となっており、企業において高度な技能を持った外国人材をより活用しやすくなりました。
4 コメント
法務省まとめの2020年までの出入国管理基本計画において外国人在留資格拡大が盛り込まれており、政府はより一層の外国人材活躍の場の拡大を目指す構えを見せている。日本企業が、今後さらに外国人を柔軟に活用できるような制度が整備され、企業の外国人材活用がより行いやすくなるのではないかと思われます。
そうして外国人雇用ニーズが増大した場合、企業としては在留資格の確認、更新手続きの有無確認等を十分に行う必要があります。外国人が入管法の要件を満たさず就労した場合は「不法就労」となりますが、不法就労者のみならず事業主側も罰則を受ける場合があります。これを不法就労助長罪(入管法73条の2)といい、不法就労者を働かした事業主にも罰則が課せられます(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金)。しかもこれについては不法就労者であることの認識がなかった場合については罰されないものの、不法就労者であると気づかず就労させた等の過失がある場合には適用となります(入管法73条の2第2項)。
企業としては、外国人の柔軟活用により利益を受けられる反面、外国人材のしっかりとした管理が必要となってくると考えられます。
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