Airbnb(エアビーアンドビー)と大田区条例案可決
2015/12/08 法務相談一般, 民法・商法, その他
1、大田区、「Airbnb」条例化の続報
大田区で12月7日に「民泊」を一定の条件で認める条例案が可決されたと12月8日付NHKNEWSwebが報じています。以前、弊社サイトでは大田区、「Airbnb」を条例化へとの記事を掲載しました。今回の記事は、条例化され来年1月から運用される大田区の「Airbnb」に関する条例についてまとめました。
2、「Airbnb」に関する条例の特徴について
大田区の「Airbnb」に関する条例は、正式には、大田区国家政略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例といいます。
主な特徴は、滞在期間が7日以上であること、区が必要に応じて施設に立ち入り調査ができること、民泊を行うことを事前に近隣の住民に周知することです。
3、条例の運用について
立入調査や事業計画の周知は、周辺住民の不安を取り除くだけでなく優良な業者のみを生き残らせるためであると思われます。そして、大田区はAirbnb条例により民泊を行える地域を指定しており、指定された区域外で行われる旅館業法に反した民泊が違法となります。もっとも、Airbnb条例は、罰則の規定が存在していません。
4、Airbnb条例の問題点について
Airbnb条例には、罰則がありません。これについて大田区は、「事業者が認定要件を欠く場合、認定を取り消す。認定を受けないまま営業を続けると、旅館業法の罰則を受ける可能性がある」との見解を示しています。
もっとも、Airbnb条例が準用する国家戦略特別区域法にも認定業者に対して罰則がなく、業者が立入調査を拒否した場合、認定要件が守られているか行政機関が知る術がなく認定取消にはならないと思われます。
さらに、ホテルや旅館では、テロ対策のためにパスポートの写しを取ることや新型インフルエンザへの対策など衛生・安全面の対策が厳しく国から指導されて遵守されていますが、民泊では、衛生・安全面の対策がどこまでできるか不明です。テロの隠れ蓑になるおそれがあります。
また、ホテルや旅館に課せられている宿泊税については、言及されていません。
5、まとめ
大田区がAirbnb条例を制定したことは、五輪に向けてホテルなどを新たに建設せずに宿泊客を増やすことにつながるメリットがあります。さらに、旅行者にとっても合意次第で格安で宿泊できるメリットもあります。
もっとも、住民の不安や安全・衛生面での不安が残るので、今後これらが課題となると思われます。
※Airbnbホストになる方法
出典:Airbnb戦略ブログ
※大田区国家政略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例
第1条(趣旨)
この条例は、国家戦略特別区域法(以下、法という。)第13条第1項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関して必要な事項を定めるものとする。
第2条(期間)
国家戦略特別区域法施行令(以下、政令という。)第12条第2号の条例で定める期間は7日とする。
第3条(立入調査等)
1区長は、法第13条第9項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、同条第4号に規定する認定事業者(以下、認定事業者という。)の事務所又は政令第12条第1号に規定する施設に立ち入り、当該認定事業者に係る法第13条第4項に規定する認定事業の実施状況について調査させ、又は関係人に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査又は質問を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第4条(事業計画の周知)
法第13条第1項に規定する特定認定(以下、特定認定という。)を受けようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ当該特定認定に係る事業計画の内容について近隣住民に周知しなければならない。
第5条(委任)
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
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