新日本建物 事業再生ADRの成立を発表
2010/11/29 事業再生・倒産, 倒産法, 破産法, 住宅・不動産
新日本建物は25日、裁判外紛争解決手続(ADR)で事業再生計画が成立したと発表した。同日開催した第3回債権者会議で、取引先の金融機関を含む全債権者が再建計画
に同意した。債務免除や債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)、債務の返済条件緩和を柱とした金融支援を受け、上場を維持しながらの事業再建を目指す。
概要
【債務内容】
・債権者 取引先11金融機関
・債務額 約123億4400万(債務総額の約88%)【支援内容】
・債務免除 約28億円
・債務の株式化 約5億円
・債務の条件変更 約89億円【上場について】
ジャスダック上場の新日本建物は、大阪証券取引所の審査が開始され1ヶ月間(平成22年11月26日から)の平均上場時価総額及び当該1ヶ月間の最終日の時価総額が5億円を上回る場合には上場が維持される。
事業再生ADRとは
事業再生ADRは、過剰債務に悩む企業の問題を解決するために生まれた制度で、中立的立場にある専門家の下で金融債権者・債務者の調整を行い、さらに、債務免除に伴う税負担を軽減するとともに、つなぎ資金の融資を円滑化し事業再生を行うものである。主として金融債権者のみを対象とした私的整理手続であり、対象者の全員一致による決議を経て、金融支援(返済条件の変更、債権放棄、債権の株式化)を行うものである。
事業再生ADRの特徴
・事業ADRは、基本的に金融債権者(金融機関等)だけを相手方として調整を進める手続であり、事業債権・売掛債権の債権者(取引先等)を巻き込む必要はない。(商取引を円滑に続けられる)
・専門的知識を有する実務家の監督の下で進められる。
・つなぎ融資(一時的な資金繰り融資)に対する債務保証及び法的整理に移行した際のつなぎ融資に対する優先弁済を設定している。
・仮に意見がまとまらず、裁判所を利用した手続(特定調停や法的整理)に移行した場合でも、裁判所はADRの調整を引き継いで手続ができる。
・原則として、債権放棄による損失の無税償却が認められる。
私的整理の特徴
・裁判所が関与しない、金融債権の放棄等による整理(原則非公表)。
・当事者全員の合意がなければ計画は成立しない。
・商取引を円滑に続けられる。
・債権放棄による損失の無税償却が困難で、債権者の意見がまとまりにくい。
法的整理(民事再生法・会社更生法)の特徴
・裁判所が関与した、金融・商取引等全ての債権者による整理(公表)。
・裁判所での手続により、債権者の多数決を得た計画が強制力を持つ。
・裁判所の監督があり、公正さが担保され、平等な解決により債権者間に損失負担の納得感がある。
・手続の公表により商取引に様々な支障が出る。
ADR事業者は裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づく認証を受けると下記の効果を得られる。
【認証ADR】
・認証業務の独占表示
・報酬を得て和解の仲介の業務を行える
・請求により時効が中断
・和解の仲介手続と訴訟が並行している場合に、裁判所の判断で訴訟手続を中止できる
さらに、事業再生について経済産業省の認定を受けると下記の効果が追加される。
【追加の効果】
・事業再生ADR業務の独占表示
・特定認証紛争解決手続が実施された案件について特定調停が申し立てられた場合、裁判官だけの迅速・簡易な手続で調停できる。
・特定認証紛争解決手続の開始から終了までに行われるつなぎ資金の融資について、独法中小機構・信用保証協会の債務保証が受けられる。
・その後仮に民事再生・会社更生の手続に移行した場合でも、その他の債権とカット率に差を設けられる。
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