トップ官僚に容疑!?経産省幹部のインサイダー取引容疑に、強制調査!!
2011/07/07 金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険
トップクラス官僚が、脱法行為!?
資源エネルギー庁の前の次長が、おととし経済産業省の審議官としてみずから関わった改正産業再生法に基づく半導体大手「エルピーダメモリ」社(東京都中央区、東証1部上場)に対する公的資金を活用した資本増強策が公表される前に、この会社の株式を購入し、金融商品取引法違反(インサイダー取引)をしていた疑いがあるとして、証券取引等監視委員会の強制調査を受けていたことが、7日、発覚した。容疑をかけられているのは支援計画発表当時の経産省審議官だった前資源エネルギー庁次長(52)。本人は、こうした疑いを否認しているという。
インサイダー取引って何が問題?!
インサイダー取引(インサイダーとりひき:insider trading)とは、内部者取引ともいい、会社の経営・財務など投資判断に影響を及ぼすような未公開の重要な情報(以下「重要事実」)にもとづいて、役員・従業員・主要株主などある一定の立場ゆえに知るに至った者(以下「会社関係者」)が、その情報が公表される前にその会社の発行する株式等の取引を行うことを意味する。
金融商品取引法は第166条において、「会社関係者」は、「上場会社等の業務等に関する重要事実」を知った場合は、その重要事実が公表された後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等の売買その他の有償の譲渡または譲受をしてはならないとしている。これに違反した場合は、個人については、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処され、又はこれらを併科される。法人については、5億円以下の罰金に処されることとなる。
(会社関係者の禁止行為)
第百六十六条 次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第五号から第八号までに規定するものに限る。以下同じ。)を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け又はデリバティブ取引(以下この条において「売買等」という。)をしてはならない。当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後一年以内のものについても、同様とする。
一 当該上場会社等(当該上場会社等の親会社及び子会社を含む。以下この項において同じ。)の役員(会計参与が法人であるときは、その社員)、代理人、使用人その他の従業者(以下この条及び次条において「役員等」という。) その者の職務に関し知つたとき。
・・・・・・・以下省略
インサイダー取引が規制される趣旨は、投資者保護、金融商品市場への信頼確保であるとされている。すなわち、一般投資家は発行会社が開示をしない限り、発行会社の内部で生じた情報を知り得ない一方で、会社の内部者でその情報を知っている人間は、情報を不正に流用することができてしまう。しかし、これでは不公平な取引が横行することとなってしまい、市場の信頼が失墜し、投資家が金融商品取引市場を利用しなくなってしまう。そこで、不正な内部取引を禁止し、上記の目的を達成しようとした。
今回の事件では??
前次長は、経済産業省幹部としてエルピーダメモリ社への公的資金注入をめぐる政策決定に関与しており、「会社関係者」として、支援策に関する「重要事実」を入手できる立場を悪用した疑いがある。
キャリアの肩書をもったトップクラスの官僚が、今回容疑がかかっている行為がインサイダー取引に当たる行為であると知らなかったとは考えにくい。本人は容疑を否認しているので、断定はできないが、もし本当に違反行為を行っていたとしたら、国民の官僚への不信をまた煽ることとなるであろう。前次長の責任は、行為以上に重い。
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