中小企業円滑化法 利用後も倒産した企業8ヶ月で100件超
2011/09/13 金融法務, 事業再生・倒産, 民法・商法, その他
概要
平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法、平成23年1月から8月までの間に、この制度を利用した企業のうち、101件が倒産したことが帝国データバンクの調べで明らかになった。倒産した企業の負債総額は、732億3900万円。倒産した原因は、販売不振が70%と一番多く、景気状況の悪化を物語っている。
中小企業金融円滑化法とは
法の内容は、一言で言えば、中小企業が金融機関に負っている債務の返済の猶予を法律で認めるものだ。法の目的は、リーマンショック以降の不況の中で、経営状況が悪化した中小企業を救済するためのものである。そして、この制度のメリットは、企業の資金繰りが改善されること、法的整理とは異なるため、企業の信用が害されにくいという点にある。一方、デメリットは、法律で強制的に返済の猶予を金融機関に対して認めさせるため、新規に融資を受けることが難しくなることが挙げられる。
この法案は、亀井元金融担当大臣の肝いりで成立し、平成21年12月4日に1年間の時限立法として施行され、平成22年12月に延長が決定された。延長期間は平成23年の3月末まで。
総評
今回、当該制度を利用した企業の倒産が8ヶ月間で100件超にものぼったことが判明した。この結果は、震災や円高など厳しい経済状況も影響してのことだろうが、そもそも、企業の倒産理由に販売不振が70%と一番多く、いくら金銭面で一時的に救済があっても、その後、自社の製品が売れなければ、経営状況の改善はおろか、倒産が不可避なのは、自明だろう。
当法律が、全く効果のないものとは言わないが、中小企業を救済するものとしては、十分な効果があるとは言い難いだろう。
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