九大・成人約100人分の致死量ヒ素紛失。管理体制は…
2011/10/06 コンプライアンス, 民法・商法, その他
概要
九州大学生物環境利用推進センターにおいて、10月4日、実験に使用していたヒ素化合物15.06グラムを紛失したことが判明した。
准教授は、9月29日の実験において使用したヒ素化合物を実験室のテーブルに置いたまま部屋を施錠せず退出してしまった。2時間半後に実験室に戻って実験を継続したものの、紛失に気付かずにいた。
10月4日、准教授が紛失に気付き、学内を探したが発見できず、5日警察に紛失を届け出た。施錠せずにいた2時間半の間に何者かが侵入し、盗難された可能性がある。
参考
毒物及び劇物取締法
(事故の際の措置)
第16条の2第2項 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。
雑感
本件で、実験室のある建物は平日は出入自由であり、一般の人も入れる状況であったそうだ。その状況は、管理者としても把握していたであろうと推測される。
准教授は、2時間半であれば大丈夫であろうと油断していたのであろうが、数分で空き巣が可能であることを考えると、2時間半は窃盗に十分な時間である。
九大は今後、管理方法の見直しをするとしているが、毒物が悪用される可能性を考えると、大学がより大きな責任追及を受けうる。自社の有するリスク要因を把握し、未然の防止策を万全にしたいところだ。
また、今回は6日未明に紛失を発表したとのことであるが、致死量のヒ素の紛失ということもあり、警察への届出後比較的速やかに発表がなされているといえる。
ただ、発表に際しては、迅速で正確な情報公開と、情報の受け手の視点に立った表現など適切なものでないと、より大きな社会的影響を引き起こしかねない。ただ不安を煽る結果となっては、発表した情報自体の信用を害する。
迅速・正確・受け手の視点を常に持ちつつ、情報収集を心がけたいと考える。
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