勤怠管理に関する法的トラブルまとめ
2016/09/03 労務法務, 労働法全般, その他
勤怠管理とは
勤怠管理とは、企業が従業員の出勤時間や退勤時間、欠勤状況、休暇の取得状況などを正確に把握し、法令や就業規則の遵守に関して管理することをいう。
勤怠管理と法務担当者の関係
勤怠管理は、主に総務部や人事部の担当業務といったイメージがあり、法務担当者が直接的に担当する業務というイメージを持ちづらい。
しかし、遅刻・欠勤の多い従業員を解雇するような場合に、解雇権の行使が濫用にあたらないかとの関係で、勤怠不良の回数、期間、程度、理由、当該従業員の過去の非行歴等との関係で勤怠管理の記録が重要になってくる。また、解雇のみならず、過労死、自殺、休業手当、賃金の未払い等でも、同様の問題が起こる可能性がある。
したがって、法務担当者といえども、自社の勤怠管理がどのような形で行われているかに関して気を配っておく必要がある。
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勤怠管理に関する法的トラブルの代表例
1.解雇
・除名が無効な場合におけるユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力に関する事例
日本食塩製造事件(pdf)
・寝過ごしにより定時ラジオニュースを放送することができなかったアナウンサーに対する解雇が解雇権の濫用として無効とされた事例
高知放送事件(pdf)
・ユニオン・ショップ協定の効力に関する事例
三井倉庫港運事件(pdf)
2.過労死
・支店長付きの運転手が自動車運転の業務中に発症したくも膜下出血が業務上の疾病に当たるとされた事例
横浜南労基署長(東京海上横浜支店)事件(pdf)
3.自殺
・長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた労働者がうつ病にり患し自殺した場合に使用者の民法715条に基づく損害賠償責任が肯定された事例
電通事件(pdf)
4.休業
・部分ストライキによってストライキ不参加労働者の労働義務の履行が不能となった場合は、使用者が不当労働行為の意思その他不当な目的をもってことさらストライキを行わしめたなどの特別の事情がない限り、当ストライキが民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」に当たらないとされた事例
ノースウエスト航空事件(pdf)
5.賃金の未払い
・農業協同組合の合併に伴う退職給与規程の不利益変更が有効とされた事例
大曲市農協事件(pdf)
会社が講ずべき従業員の勤怠管理の内容
1.使用者が従業員の労働時間を管理する手法
・使用者が労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を自ら現認することにより確認し、これを記録する方法
・タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録する方法
使用者自らが従業員の全ての始業・終業時間を確認することは、事実上不可能であるため、ほとんどの会社は、タイムカード、ICカード等の客観的な記録を用いる方法によって従業員の労働時間を管理することになる。
2.従業員からの自己申告に基づいて労働時間を管理する手法
・導入前に従業員へ充分な説明を実施すること
・申告された労働時間が実態と合致しているか否かを適宜調査すること
・労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと
・時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払い等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること
勤怠管理を行わなかった場合のリスク
勤怠管理を行わない場合、給与計算などを行う担当者に大きな負担がかかってしまうばかりでなく、ブラック企業と呼ばれてしまうことにもなりかねない。一度、ブラック企業と呼ばれると、ブラック企業大賞の対象としてのイメージが付いたりなどして、信頼の回復が難しくなり、結果的に企業の業績を大きく損なう事態になるおそれがある。
ブラック企業大賞
成果を出す勤怠管理を実現するには
昨今よく使われている勤怠管理ソフトを取り入れることで、効率よく勤怠管理ができる。もっとも、消化不良を起こしてしまっては意味がない。このため、自社に合った勤怠管理ソフトを取り入れることが重要である。
勤怠管理システムに関して、国内にどのようなサービスがあるのかは、下記サイトにまとめられているので、ご参考にされてはいかがだろうか。
国内ほぼすべての勤怠管理システムの特徴・料金まとめ
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