バークレイズ金利不正操作問題、日本への影響は?
2012/07/12 金融法務, 民法・商法, 金融・証券・保険
概要
ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作に関して英国金融大手バークレイズが米英当局に対し総額360億円の罰金を科されたのを受け10日、マーカス・ダイヤモンド同社前CEOがボーナス約25億円を辞退することを明らかにした。同氏はCEO辞任後に出席した英国議会の公聴会で不正操作が金融業界の「慣行」となっていたとの見方を示しており、問題の病巣は根深いものと思われる。
LIBORとは、ロンドン市場における金融機関同士の資金貸し借りに際して貸し手側の銀行が提示する金利のこと。融資利率の基準となる他、金融派生商品の価格形成にも影響を与える。その決定に当たっては、大手銀行が自行の貸出金利を申告。英国銀行協会がそれを受けて金利の上位と下位を除外して平均を算出する。
日本への影響
今回の不祥事を受け、日本の金融界も俄かに動揺を見せている。
全国銀行協会(全銀協)は、東京銀行間取引金利(TIBOR)について算定方法や透明性確保手段の見直しに向けて動き出した。TIBORはLIBORと同様の方法で算定されており、国内企業向けの指標としての影響力はLIBORよりも大きいとされる。
また、この問題に関連して、東京三菱UFJ銀行はロンドン勤務のトレーダー2名を自宅待機措置とした。もっともこれは、以前の勤務先である蘭金融機関ラボバンク勤務時に不正操作に関与したとの疑惑で英金融当局の調査対象となったことを受けてのものであり、現時点で移籍後の不正行為は確認されていないという。
この問題を巡っては独当局がドイツ銀行の調査を開始するなど、問題が世界中に波及しつつある。そうした中で、全銀協が先手を打つ形で透明性向上に向けた動きを見せたことは前向きに評価すべきである。
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