水俣病、救済策に異議あり!
2013/06/25 訴訟対応, 民事訴訟法, その他
事案の概要
今月20日、水俣病の症状がある被害者の救済策に申請したが、その対象とならなかった48人が国と熊本県、原因企業チッソに対し、総額2億1600万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴した。原告団は「水俣病の症状がある全員の救済を求める」と決意を語った。 原告はいずれも水俣病の被害者団体「水俣病不知火(しらぬい)患者会」(熊本県水俣市、約7200人)の会員であり、年齢は、40~90代で1人を除き熊本、鹿児島両県の在住である。
本訴訟の特徴としては、水俣病被害者救済策を巡って提起された初めての訴訟、というところにある。ここで、救済策とは、国の基準では水俣病患者と認定されないが、手足の先や全身性の感覚障害などの症状がある人に、一時金210万円や医療費などを支給するというものである。給付の申請受付は、昨年の7月31日に打ち切られている。
これについては、「不当な線引きによる被害者切り捨て」との批判が強かったため、今回このような形で提訴が起こったことはある程度想定されたものであったといえる。紛争の早期解決を望む行政・企業側と、被害弁償を望む市民の対立は、まだまだ終わりそうにない。
コメント
水俣病は、チッソの名を悪い意味で世に広めてしまった。これは現代の紛争のなのであり、決して「昔話」ではない。大量生産大量消費型社会が終焉を告げつつある現代、企業の環境配慮に対する意識の高さは、消費者による企業評価に色濃く反映されてゆくことになろう。
未然防止的アプローチ・予防的アプローチの視点から、損害との因果関係について科学的根拠が不十分である場合でも、起こりうる事態・損害を出来る限り想定し、これを防止するための手立てを、先回りして考えてゆくことが、これからもますます求められていくだろう。水俣病を教訓とし、企業は、コンプライアンスやCSRを強化してゆく必要がある。
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