地域を支える小規模企業を応援するー小規模企業支援法の成立
2013/07/19 事業再生・倒産, 民法・商法, その他
事案の概要
小規模企業活性化法が今国会にて成立した。中小企業活性化法は中小企業基本法をはじめ中小企業信用保険法、中小企業支援法など複数の法律の中小企業を応援する法律の改正をまとめて呼んだものである。
現在、わが国では中小企業が480万社ほどあるが、そのうちおよそ9割にあたる420万社は小規模企業である。小規模企業は、数が多いばかりでなく地域の経済や雇用を活性化したり潜在化していない経済需要を掘り起こすなど、日本経済を支えている重要な存在である。しかし、ここ十年あまりで淘汰されてきた。企業数でいえば56万社、雇用数でいえば186万人が減少してきている。これは大規模企業、中規模企業と比して割合的に多く深刻な状況である。
このような小規模企業を援助し日本経済の再生を目指すのが、中小企業活性化法である。
具体的な柱としては2つである。一つは小規模企業の定義規定の改正である。例えば従来は、サービス業は小企業企業は従業員5人以下と一律に定義されていた(中小企業基本法2条5項)。しかし、小さな旅館をイメージしていただければ分かるようにサービス業では十人、二十と従業員がいても事業の実態としては非常に小さなものも多く公的な支援が必要である場合が多い。そこで、中小企業信用保険法、小規模企業救済法などの個別の法律で小規模企業の範囲の変更を行えることができるようにした。もう一つは、中小企業の支援の専門家の認定を国が行えるような仕組みづくりである。国は、従来ITシステムと呼ばれる中小企業の事業者が経営の専門家に相談できるような仕組みづくりを構築してきた。今回の改正では、この中小企業の専門家の認定ができるよう中小企業支援法を改正する。これにより、専門家の質が担保され中小企業の事業者が経営に関する相談がしやすくなる。
参考条文中小企業基本法
第二条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。
一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
四 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
2 この法律において「経営の革新」とは、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入、新たな経営管理方法の導入その他の新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることをいう。
3 この法律において「創造的な事業活動」とは、経営の革新又は創業の対象となる事業活動のうち、著しい新規性を有する技術又は著しく創造的な経営管理方法を活用したものをいう。
4 この法律において「経営資源」とは、設備、技術、個人の有する知識及び技能その他の事業活動に活用される資源をいう。
5 この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者をいう。
コメント
小規模の企業は地域の存在需要、地域の雇用など地域に密着した存在である。そのため、国のみなず地方公共団体などの存在も非常に重要になってくる。例えば、埼玉県では民間企業の出身の出身のエキスパートが中小企業の専門家の相談を行えるような仕組みを構築している。
このように、国の支援のみならず地域ぐるみで小規模企業を支援していけるかが、今後の課題である。
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