国際紛争の解決方法~仲裁について~
2014/02/14 海外法務, 海外進出, 外国法, その他
国際的な取引において紛争が生じた場合の解決法として仲裁がある。
仲裁とは当事者の合意にもとづいて、第三者(仲裁人)の判断によって紛争を解決する手続きである。裁判によらない紛争解決法の一種である。
裁判によらずに仲裁を用いるメリットとして以下の点が挙げられる。
①仲裁に関するニューヨーク条約加盟国(140カ国以上)同士であれば、国の壁を越えて強制執行が可能となる
②審理は非公開であるため、企業の秘密が守られる
③仲裁地、仲裁人を選ぶことができるので、中立的な仲裁地、専門性のある仲裁人を選択できる
④仲裁判断に控訴、上告はできないので迅速な紛争解決ができる
仲裁を行うには仲裁地をどこにするかが重要なポイントとなる。国によっては仲裁判断に当該国の裁判所が介入してくる場合もある。以下では仲裁制度の整備に積極的であり、アジアの仲裁地として人気の高い香港とシンガポールの仲裁事情について概観する。
【香港】
香港の主要な仲裁機関として香港国際仲裁センター(HKIAC)がある。
HKIACの規則は国際連合国際商取法委員会(UNCITRAL)の仲裁規則に基づいているため、国際標準で利用しやすいものとなっている。また中華圏であるため、中国企業関連の案件を多数扱っている。
中国のWTO加盟以降、中国企業と海外企業の取引の増加に伴って、仲裁地として香港を選択する場合が増えている。
中国裁判所は国外の仲裁合意の執行について消極的態度を示すことが少なくないが、中国最高人民法院の通知により、香港での仲裁判断を中国裁判所が国内において承認・執行が可能であることを明確化されたため、香港の仲裁地としての更なる利用増が期待される。
【シンガポール】
シンガポールの主要な仲裁機関としてシンガポール国際仲裁センター(SIAC)がある。
取り扱い件数の8割以上が国際案件であり、紛争当事者がシンガポールと関わりのない場合も多くあり、中立的な仲裁地として多く利用されている。インド企業との契約においてシンガポールを仲裁地として選ぶ例が多くある。
またシンガポールは近時、仲裁規定の改正に取り組むなどアジアの仲裁地としての誘致に積極的である。SIACの仲裁規則が改正され、仲裁合意は書面によらなければならないという要件を緩和、早期救済に必要な緊急仲裁人手続きの有効性確保など、仲裁制度の利便性を向上させている。
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