暴力団による不当要求の実情と企業対策
2014/11/28 法務相談一般, 民法・商法, その他
暴力団による不当要求の実情
警視庁や日本弁護士連合会などが今年7月に実施した調査によると、暴力団から不当要求を受けた企業のうち約2割が、暴力団の要求に応じていたことがわかった。
この調査は2008年から隔年で行われているもので、今回の調査では2703社から回答を得た。その中で不当要求を受けたと答えた被害企業は107社で、そのうちの22社が要求に応じたとしている。
結果だけを見れば、暴力団から不当要求を受けた企業の数自体は2年前の調査(337社)からは大幅に減少している。その理由としては、2012年10月に不当要求行為の規制強化を盛り込んだ改正暴対法が施行されたことなどが挙げられる。もっとも、依然として不当要求を受けた企業のうちの2割は不当要求に応じているという実態も浮き彫りとなった。
そこで、今一度、企業法務担当として暴力団対策をどう講じるべきか、暴対法の仕組みも含めて確認してみたい。
暴対法の仕組み
暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)は、その名を告げるだけで相手を威嚇させるなど、暴行脅迫等の犯罪にならない形で、暴力団の威力を巧みに利用して不当に利益を得る行為を規制することなどを目的として制定された。
暴対法は、指定暴力団などが行う行為のうち、口止め料を要求するなどの27の行為を禁止行為と定めている。この禁止行為がなされると、公安委員会から「中止命令」や「再発防止命令」が出され、これに違反した場合には刑罰が科されるという仕組みになっている。
こうした仕組みに加え、同法は、不当要求防止責任者講習制度について定めている。同制度は、事業者に対して、暴力団の実態を知りその対応方法を習得した不当要求防止責任者を選任し設置することを努力義務として定めている。不当要求防止責任者は、警視庁が行う責任者講習などへの参加が一定範囲で義務付けられ、そうした講習を受講することで、暴力団に対する具体的な対応方法を習得していくことになる。
実務としての対応
多くの企業では、官公庁などが発表している暴力団対応例などを社内の独自マニュアルに反映させたうえで周知徹底させるといった対応をとっている。例えば、社内で用いる応対マニュアルにおいて、暴力団と思しき者の指定する場所で応対をしてはならない旨の規定などがそれにあたる。自社で取り扱う契約書に、当事者が暴力団と関わった場合に契約を解除できる旨の条項を記載するなど、暴力団排除を明確にする規定を盛り込むなども一例といえる。
他方、不当要求防止責任者制度については利用していない企業もまだ多い。暴力団対策に万全を期したいと考えるのであれば、同制度の利用を検討することも一つの手であろう。
関連サイト
関連コンテンツ
新着情報
- 業務効率化
- Araxis Merge 資料請求ページ
- セミナー
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 登島さんとぶっちゃけトーク!法務懇談会 ~第14回~
- 2025/02/13
- 19:00~21:00
- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- ニュース
- 宝塚歌劇団が法人化でガバナンス強化、内部統制システムとは2025.1.16
- NEW
- 阪急阪神ホールディングスは、現在子会社の1部門となっている「宝塚歌劇団」を法人化することによ...
- 弁護士
- 大谷 拓己弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階
- 解説動画
- 加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- まとめ
- 独占禁止法で禁止される「不当な取引制限」 まとめ2024.5.8
- 企業同士が連絡を取り合い、本来それぞれの企業が決めるべき商品の価格や生産量を共同で取り決める行...
- 弁護士
- 松本 健大弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階