企業におけるSNSトラブル事前防止策を考える!
2014/12/11 コンプライアンス, 危機管理, 民法・商法, その他
広がるSNS、増えるSNSトラブル
フェイスブック(facebook)やTwitter(ツイッター)など、ここ数年で、インターネット上でメッセージや写真を公開・交換するいわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が著しく普及しました。企業の法務担当者の皆さんの中にも、個人でアカウントを所有されている方も多いと思います。また、近年では、企業や自治体自体が公式アカウントを所有して、そこから自社の情報や宣伝を発信することも珍しいことではなくなりました。
しかし爆発的な普及に比例するように、近頃ではコンビニ店員がアイスクリームケースの中で寝転んでいる写真を投稿したり、ホテル従業員が客の有名人の個人情報をつぶやくなど、SNSにおけるトラブルがテレビや新聞で報道されることもしばしば。さらに、先月には究極ともいえる“ツイッター誤送信事件”がアメリカで発生して話題になりました。
米ツイッターのCFOまでも...
11月24日午後3時27分、「私はそれでも彼らを買収すべきだと思う。スケジュールは12月15日か16日だ。説得せねばならないが、私には考えがある。」
このメッセージをツイッターに投稿したのは、なんとツイッターの最高財務責任者(CFO)のアンソニー・ノト氏で、本来は特定の個人に送信するはずだったM&Aに関するメールを誤って投稿してしまったようです。ノト氏は早急にこの投稿を削除しましたが、後の祭り。アメリカでは、Twitterが仕掛けると思われる買収先を巡って各メディアが報道を行うなど、大騒動となりました。ツイッターの最高幹部自らが、ツイッターの使用を誤り、企業に損害を与えてしまったのです。
また、昨年12月には、米インターネット大手IACの広報部門のトップ、ジャスティーン・サッコ氏が南アフリカへの長期休暇にでかける直前、「アフリカへ行ってきます。エイズにかかりませんように、というのは冗談。私は白人です!」とツイート。本来、有益・安全なSNSの使用について最前線の見識を有するはずの大手インターネット会社の広報部長が、このような差別的なツイートを行ったとしてこちらも大問題になりました。
このように、ツイッターの運営者も、ネット大手の広報のプロでも炎上してしまうSNS。
では、このようなSNSでのトラブルを事前に防止するために、企業法務担当者はどのような対策をするべきでしょうか。
企業がとるべきSNSトラブル事前防止策とは
まずは、社内でセミナーを開催するなどして、直接的に社員にSNS使用上の注意や、リスクを啓蒙していくことが考えられます。実際、多くの会社が主に新人研修の際などに、外部の専門家を招くなどして、自社に損害を与えないSNSの使用方法をレクチャーしているようです。しかし、、近年では、同窓会の連絡をフェイスブックを通じて行うなど、40代、50代以上の人々がSNSに新たに参加するケースも増えているので、新入社員のみを対象にするのではなく、年齢や役職を問わず、全社員を対象にしたこのような啓蒙の機会を定期的に催すべきでしょう。
また、SNS利用に関するガイドラインを策定してそれを公表し、自社の社員はもちろんのこと、子会社や関連会社にもその内容を周知させるというのも有益な一手でしょう。企業によっては、策定したガイドラインを従業員がe-ラーニングシステムを利用してチェックするよう、義務付けているところもあるようです。中には、社内のガイドラインに「損害賠償を請求する可能性」を明記して、社員のSNS利用について注意を促している企業もあります。
さらに、新入社員やアルバイト、またパートの採用時に「不適切なSNS利用をしない」といった旨の“誓約書”にあえてサインさせることで、社員にたとえそれが個人の利用であっても、企業に大きな影響を与えかねないことを認識させる、という方法も考えられます。
他に、企業が実際に行っている取り組みとしては、従業員向けの冊子を作成しSNSの理由について注意を喚起したり(ローソン)、グループ全店舗に社長からのビデオメッセージを配信(物語コーポレーション)するなどがあり、企業は自社の規模や業務体制、従業員の構成にあった方法でそれぞれSNS利用対策をしているようです。
いくら削除しても、インターネット上の投稿を完全に削除することはできません。未だ具体的なSNS利用指針がない企業においては、自分の企業がSNSトラブルを発端に“炎上”しないよう、早急な対策が求められていると言えるでしょう。
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Twitter炎上騒動の数々から企業の新しいリスク管理と経営的対応 ASUE
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