マタハラ問題、厚労省が悪質企業公表の方針
2015/06/02 労務法務, 労働法全般, その他
概要
妊娠・出産などを理由とする不利益取扱い(マタニティハラスメント、通称マタハラ)に関する問題で、厚生労働省は先月29日までに、是正指導・勧告に従わない企業の企業名公表など指導を徹底する方針を定め、全国の労働局に指示した。事業主等への指導を徹底することでマタハラ被害を未然に防ぐ狙いである。
マタハラ相談件数の増加
平成26年5月27日から29日にかけて日本労働組合総連合会がインターネットで行ったマタハラに関する意識調査では、マタハラという言葉の認知度は平成25年の20.5%から62・3%へと大幅に増加している。
さらに厚生労働省では、平成26年10月23日に男女雇用機会均等法第9条第3項の適用に関して最高裁判所の判決があったことなどを踏まえ、平成27年1月23日に男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の解釈通達を改正し、マタハラに対してより厳格な態度を示している。(改正の具体的内容については、企業法務ナビ2015-02-23日の記事参照 )。
そして都道府県労働局雇用均等室に対する妊娠・出産などを理由とする不利益取扱い相談件数は平成26年度については3591件となり、前年度に比べ147件増加している。これはマタハラに対する世間の認知度が増加し、マタハラの解釈も改められた結果といえよう。企業のマタハラに対して世間の目はより厳しくなっている。
マタハラを避けるために
マタハラには社内全体の風潮として組織的に行われる場合もあれば、妊娠・出産への理解の薄い個人がマタハラ行為に及んでいる場合もある。さらには、「女性は子供を第一にして家で働くべき」といった古い価値観をもって妊婦に接する結果、悪意がないにもかかわらずマタハラに該当しているケースも存在する。このような場合には企業内においてマタハラを発見することが通常より困難になるといえる。企業名公表による信用低下を避けるためにも、企業にはマタハラ問題に対応するための体制構築、社員の教育が求められる。
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