東大職員 不正受給で解雇
2021/10/04 労務法務, 労働法全般, その他
はじめに
東大は令和元年10月から今年5月までの間に偽造診断書を用いて病気休暇や休職をしたりし、給与約450万円を不正に受給したとして、事務職員の男性を9月22日に懲戒解雇にしたと同月24日に発表しました。
事案の概要
東大が発表した内容によりますと、男性職員は令和元年10月以前に病気休暇を取得していましたが、医療機関から休養すべき旨の診断書を継続して発行してもらえなかったため、一通目をコピーするなどして計25通の偽造診断書を大学側に提出していたとのことです。
ズル休みはなぜダメなのか
そもそも会社と雇用契約を結ぶ労働者には、所定労働時間の間、使用者である会社の指揮命令に服し、職務に専念する契約上の義務があります。そのため、虚偽申告によるズル休みは正当な理由もなく会社の指揮命令に逆らう行為であり、職務専念義務に違反します。そこで、ズル休みをする社員への制裁のために、多くの会社が就業規則に懲戒や解雇事由として、虚偽の申告や報告をした場合を定めていると思われます。
解雇事由の判断基準
懲戒処分は労働契約法によって厳しく制限されています。「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」(労働契約法15条)と規定されています。これを要約すると、懲戒をすべき合理的な理由があり、懲戒処分をすることが社会通念に照らして相当でなければ懲戒処分ができないということです。この判断基準にズル休みを当てはめて考えると、まずズル休みは職務専念義務に違反しているので懲戒をすべき合理的な理由はあるといえるでしょう。次に、処分の相当性に関しては、ズル休みによって社内の秩序が乱されたかがポイントとなります。様々な事情を考慮する必要はありますが、ズル休みにより他の従業員・職員に負の影響を与えるのは明白ですので、社内の秩序を乱したと評価できるでしょう。
コメント
企業法務従事者としては、正しい法律知識を身に付け、非違行為にはしる従業員に適切に対応できるようにしましょう。
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