掘削作業主任者の不選任 労働安全衛生法違反で送検
2021/10/15 労務法務, 労働法全般, その他
はじめに
横浜北労働基準監督署は、掘削作業主任者を選任しなかったことを理由に、土木工事業の株式会社吏央と同社横浜支店長を労働安全衛生法第14条違反の疑いで横浜地検に書類送検しました。
事案の概要
令和2年10月13日、横浜市の新築工事現場で災害は発生しました。地表から深さ約12メートルの掘削面がほぼ垂直に切り立った地点で、同作業員が掘削を行っていたところ、掘削面が崩れ、土砂が流出しました。
労働安全衛生法について
労働安全衛生法は「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに、「快適な職場環境を形成する」目的で制定された法律です。また、その手段として「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」、「責任体制の明確化」、「自主的活動の促進の措置」など総合的、計画的な安全衛生対策を推進することとしています。労働安全衛生法2条2項によると、労働者の定義は、労働基準法9条に規定する労働者をいうとされており、労働基準法9条の労働者は、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われる者をいうとされています。労働者を雇う会社は必ずといってもいいほど当該規定の遵守が求められます。
労働安全衛生法14条について
労働安全衛生法14条は、一定の危険作業(プレス機械の操作等)について作業主任者を選任し、作業者を指揮させることを義務付けています。この規定に反して作業主任者を選任していないときに同条違反となります。また、選任していても作業主任者が作業者の監視を怠っていたなどの事情があれば、労働安全衛生法第14条違反に該当します。同条に違反した場合には、6か月以上の懲役又は50万円以下の罰金に処する旨が定められています。
コメント
労働安全衛生法は建設業をはじめとして多岐にわたる業種において適用される法律であります。企業法務従事者としては、自社の就業所内において危険作業を行う必要があるならば、作業主任者を選任することを徹底し、作業者を指揮監督させることを徹底すべきといえます。労働者の安全を会社側が率先して守ることで、労働者と会社との信頼関係を築けるので、労働安全衛生法は遵守するようにしましょう。
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