ソーシャルゲーム戦争、DeNAに排除措置命令
2011/06/10   独禁法対応, 独占禁止法, エンターテイメント

排除措置命令の発令

6月9日、公正取引委員会は、「Mobage」を運営するDeNAに対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除措置命令を出した。
同委員会によると、DeNAはソーシャルゲームでシェア争いを繰り広げている「GREE」にゲームを提供しないよう、ゲーム開発会社に圧力をかけていたという。
昨年12月8日に同委員会の立ち入り調査が報道され、DeNA社長は同月15日、「法令違反があったとは思っていない」旨のコメントを行っていた。
今回の命令に対してDeNA側は、命令を真摯に受け止める旨のコメントを発表している。

独禁法の前提条件

そもそも、独占禁止法はどのような背景で出来ているのだろうか。
アメリカ合衆国の場合、19世紀後半に生じた独占資本による市場停滞を防ぐために、反トラスト法と言われる一連の法律が制定された経緯がある(「シャーマン法」や「クレイトン法」など)。
自由競争の結果生まれた大企業による活動を抑止し、事業支配力の過度の集中を防ぐ趣旨が存在している。
今回の事件も、ソーシャルゲームで双璧といいうる大手の一角を占めるDeNAに対し、影響力の不当な行使が問題となったものである。
ただ、当然に独禁法を適用していいかといえば、疑問が全くないわけではない。
上記の立法経緯から明らかなように、独禁法が作られたのは大手企業が寡占状態に入ると、新興や中小の企業が参入できなくなる世界だった。しかし、ソーシャルゲームのようなIT関連の業界は、大手の寡占状態が固定化することはあまり考えにくい。技術革新や流行の変化で、大手企業でなくとも成功する可能性は大いにある。また、大手といえども数年後には凋落している場合も過去に存在した。
すると、実のところ、独禁法の立法趣旨そのものがそのまま当てはまるのか、よくわからない部分はある。

独禁法そのものも、新しい産業を見据えた改革を必要としていくときなのかもしれない。

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

  • セミナー
    • 石黒 浩 氏(大阪大学 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授 (栄誉教授))
    • 安野 たかひろ 氏(AIエンジニア・起業家・SF作家)
    • 稲葉 譲 氏(稲葉総合法律事務所 代表パートナー)
    • 藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
    • 上野 元 氏(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー)
    • 三浦 亮太 氏(三浦法律事務所 法人パートナー)
    • 板谷 隆平 弁護士(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
    • 山口 憲和 氏(三菱電機株式会社 上席執行役員 法務・リスクマネジメント統括部長)
    • 塚本 洋樹 氏(株式会社クボタ 法務部長)
  • 【12/6まで配信中】MNTSQ Meeting 2024 新時代の法務力 ~社会変化とこれからの事業貢献とは~
  • 終了
  • 2024/12/06
  • 23:59~23:59

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。