新潮社の倉庫で出荷前の小説や漫画が焼ける火災/火災リスクとBCP対策
2024/07/17   危機管理, メーカー, 物流

はじめに


茨城県にある株式会社新潮社の倉庫で7月8日早朝に火災があり、出荷前の小説や漫画の冊子が焼けてしまったということです。

企業は工場や倉庫などでの火災が起こらないよう事前に対策を行うことや、万が一火災が発生した際の対応を決めておくことが重要です。

 

出荷前の小説などが焼失


7月8日午前6時45分頃、茨城県五霞町にある新潮社の倉庫で火災がありました。倉庫の床面積はのべ約9100平方メートルで、鉄骨2階建てでした。出勤した男性従業員が倉庫2階から火が上がっているのを発見し、消防に通報したということです。

火は約2時間後に消し止められ、怪我人はいないということですが、倉庫の一部、約30平方メートルが焼け、壁沿いに積み上がっていた出荷前の小説や漫画の冊子が焼失したとのことです。

 

倉庫火災を起こさせないために


企業の倉庫や工場などにおける火災は、近年緩やかに減少していると言われています。喫煙者人口が減少し、タバコの不始末やライターの取り扱い不備による火災が減少したことや、監視カメラの設置が一般的になり放火が減ったことなどがその理由として挙げられています。

しかし、一度、倉庫や物流センターなどで火災があった場合、今回のケースのように、保管している商品などが焼失し、自社に損害が生じるのはもちろんのこと、取引先企業に対しても損害を及ぼすおそれがあります。

そのため、工場や倉庫・事業所を含めて、火災リスクをしっかり確認し、以下のようなBCP対策をとることが重要です。

①火災発生の恐れがある場所の確認
・可燃物が多く集積している場所
・喫煙所、給湯室など火を使う場所
・危険物、薬品などの取り扱いがある場所

これらの場所などでは火災が起きやすいと言われているほか、延焼の原因になるおそれがあります。倉庫で勤務をする従業員らに、これらの火災リスクについて周知するほか、コンセントやコード周辺にほこりがたまらないよう普段から掃除をするなど気を配ることが重要です。

②火災発生時の対応を決めておく
万が一火災が発生した際の対応策についても検討しておくことが大切です。
従業員が火災を通報し、避難するまでの流れを確認、指導することに加え、初期消火の訓練なども行うことが望ましいでしょう。

③商品やデータの管理について
仮に倉庫に保管していた商品やデータが焼失した場合に、早期復旧するための道筋を平常時に検討しておくことが重要です。
例えば、倉庫の商品などが燃えた場合に備え、早期に取引先に供給開始できるよう代替となる生産拠点の選定をしておくことなどが考えられます。
また、データを保管している場合には、重要なデータだけでもクラウドでバックアップを取るなど、焼失時に復元できる体制を整えておくことで、火災だけでなく、他のリスクに対しても対応できるようになります。

 

コメント


倉庫火災の出火原因の上位は、電気関係や放火関係、たばこ関係と言われており、これら3つのみで全体の6割を占めるとするデータもあります。

今回は幸い、被害はそれほど拡大しませんでしたが、2017年にはオフィス向けの事務用品などの通信販売を行うアスクル株式会社の物流センターで火災が発生し、鎮火まで約2週間かかりました。鉄骨の建物には窓が少なく、倉庫内が200度まで上がっていたとも言われています。

この事件では、火災の原因が古紙回収業者の従業員による不適切なフォークリフトの使用にあったとして、2024年2月に古紙回収業者に対し約94億円の損害賠償が命じられています。

ときに、想像を超えた大きな損害へと繋がる倉庫火災。特に、人の出入りが多い倉庫では、ヒューマンエラーなどによる火災が発生する可能性が高まります。

日ごろから、しっかりと火災予防に努めつつ、有事の際に、火災による損害を最小限に抑え、早期の事業再開が実現できるよう、BCP対策を導入しておく必要がありそうです。

【参考リンク】
アスクル物流センター火災で古紙回収業者に約51億円の賠償命令(企業法務ナビ)

 

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