外国人技能実習制度まとめ
2016/11/10 労務法務, 外国人雇用, 労働法全般, その他
はじめに
最近外国人技能実習生の失踪が過去最多となったことが話題となっている。
そこで、企業が外国人実習制度を利用する場合についてまとめてみた。
(ニュースソース)朝日デジタル
外国人技能実習制度とは
外国人技能実習制度とは、開発途上国等の若年労働者を日本の産業界に技能実習生として受入れ、一定期間在留する間に技能実習実施機関において技術・技能、知識を修得させる制度である。
そして、最長3年間の期間満了によって母国へ帰国後、日本で得た知識等を生かして母国等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設されたものである。
(出典)B-NET国際支援共同組合
外国人技能実習制度の概要
1)外国人技能実習生の受け入れについては、①企業単独型、②団体監理型の2種類がある。
①企業単独型:日本の企業等(実習実施機関)が海外の現地法人、
合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施
②団体監理型:商工会や中小企業団体等営利を目的としない団体(監理団体)が技能
実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施機関)で技能実習を実施
(参考)JITCO
2)実施期間は1年(技能実習1号、技能習得)と2年(技能実習2号、技能習熟)の合計3年間となる。
技能実習生は、技能実習1号終了時に移行対象職種・作業について技能検定基礎2級等に合格し、在留資格変更許可を受けると技能実習2号へ移行することができる。
この場合、技能実習1号で技能等を修得した実習実施機関と同一の機関で、かつ同一の技能等について習熟するための活動を行わなければならない。
3)技能実習生の受け入れ枠については、企業単独型と団体管理型で異なる。また、企業規模によっても受け入れ枠が異なる。
4)技能実習生を受け入れられる業種は74職種133作業ある。
外国人技能実習制度のメリット・デメリット
当該制度のメリットとしては、
・外国人に技能を指導することによる職場の活性化、社員の意識改革
・人材確保に伴う生産効率の向上
・企業の国際化
デメリットとしては、
・延長滞在が認められていないため、3年以上の雇用は認められない
・ビザ申請や入管手続きが煩雑であり時間もかかる
・初期は文化や習慣の違いからコミュニケーションに戸惑うこともある
といったことが挙げられる。
受け入れにおける留意点
1)労働関係法令の遵守
技能実習生とは雇用契約を締結し、最低賃金法をはじめとする労働関係法令を遵守した賃金を支払わなければならない。
また、食費等を賃金から控除する場合には、労使協定の締結も必要となる。
2)受け入れ体制の整備
企業単独型の場合には、技能実習計画の作成・実施を行い、平日の外出を禁止する等の不適切な方法による管理が行われないような体制を構築しなければならない。
団体監理型の場合には、実習計画に基づいているかどうか確認・指導する「監理」や講習を行わなければならない。
3)不正行為について
上陸基準省令に規定されている実習生に対する不正行為を行った場合は、
実習生の受け入れ禁止等の措置が講じられる。
さいごに
外国実習生は昨今就職者が減少している職種において重要な労働力の担い手ともいえる。実際2014年には約17万人が実習を行っている。
そして今年は過去最高の4930人が失踪に至っている。
このことは、不法入国を目的とした実習制度の利用だけでなく、過酷な労働環境や賃金の未払い等のトラブルも原因の一つであると考えられる。
これらの問題を解決するためには受け入れ企業側の管理体制の構築・定期的なチェックを行う必要があろう。
また、実習生の選抜段階で、受け入れ先及び実習生が制度を理解しているかどうか確認することによって、実習後のトラブルは少なくなるであろう。
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