QAで学ぶ契約書作成・審査の基礎第51回 技術ライセンス契約:~監査権
2023/07/01 契約法務, 知財・ライセンス, 特許法
UniLaw 企業法務研究所 代表 浅井敏雄
第50回から技術ライセンス契約について具体的な条項を提示した上解説しています。今回は, ライセンス条項/本契約の有効期間/ライセンス料及びその支払/ライセンス料の報告/監査権に関する規定例を提示しその内容を解説します。
【目 次】
(各箇所をクリックすると該当箇所にジャンプします) Q1:契約名称・前文 Q2:定 義 (以上第50回) Q7:監査権 (以上今回) Q8:保証及び保証の否認 Q9:不争条項 Q10:改良技術 Q11:秘密保持 Q12:解除及び期限の利益喪失 Q13:契約終了時の措置 Q14:反社会的勢力の排除 Q15:一般条項 |
Q3:ライセンス条項
A3: 以下に規定例を示します。なお, 以下, 契約規定例中に, 強調又は解説の便宜上, 下線を引いている箇所があります。
第2条 ライセンス 1. ライセンサーは, 本契約の有効期間中, 本契約の条件に従い, ライセンシーに対し, 許諾知的財産権に基づき, 許諾地域において許諾製品を製造し, 使用し, その販売を申し出, 販売し, 及び輸入する非独占的権利を, ライセンシーによるライセンス料支払いを条件として許諾する。当該許諾は, 日本における許諾特許のうち特許出願等に関し生じた権利については仮通常実施権を許諾したものとする。 2. ライセンシーは, 許諾製品の全部を自己が引取ることを条件として, 許諾製品の製造を製造委託先に委託することができるものとする。この場合, ライセンシーは, 事前に, 当該製造委託先との間で, ライセンシーが本契約上許諾製品の製造に関し負う義務と実質的に同じ義務を当該製造委託先に課す契約を締結し, 当該製造委託先に当該義務を遵守及び履行させるものとし, 当該製造委託先が当該義務に違反した場合にはライセンシー自身が違反したものとして責任を負うものとする。 3. ライセンシーは, 前二項に定める権利を, ライセンシー子会社に対し, ライセンシーが同社の過半数の議決権を有する間に限り, 再許諾することができるものとする。この場合, ライセンシーは, 事前に, 当該ライセンシー子会社との間で, ライセンシーが本契約上許諾知的財産権に関し負う義務と実質的に同じ義務を同社に課す契約を締結し, 同社に当該義務を遵守及び履行させるものとし, 同社が当該義務に違反した場合にはライセンシー自身が違反したものとして責任を負うものとする。当該再許諾によりライセンシー子会社に与えられた権利は,本契約の終了時又はライセンシーが同社の過半数の議決権を失った時,いずれか早く到来した時に自動的に消滅するものとする。 4. 前各項に明示された行為及び権利を除き, ライセンサーは, 許諾知的財産権及び許諾技術に関し, ライセンシーに対し如何なる行為又は権利も許諾しない。 |
【解 説】
【第1項】 この条項は, 「ライセンス」の内容(5W1H)を定めた, ライセンス契約の中で最も中心的条項であり, 他の条項は, この条項に定めるライセンスに付随・関連する条件を定めたものと言えます。
「許諾知的財産権」,「許諾地域」,「許諾製品」の意味は第50回で解説した定義の通りです。
ここでは, ライセンシーが可能な行為を, 許諾製品を「製造し, 使用し, その販売を申し出, 販売し, 及び輸入する」こととしていますが, ライセンスの範囲をこれらのうちの一部の行為にのみ限定する場合(例:(自己)使用にのみ限定)は,それに応じて適宜上記の文言を修正する必要があります。
「非独占的権利」は, 日本の特許権について言えば「通常実施権」(特許法78条)ですが, 本契約におけるライセンスは, 外国における特許権や, 特許権以外にノウハウ等も対象としているので, 「非独占的権利」という言葉を用いています。
【「当該許諾は, 日本における許諾特許のうち特許出願等に関し生じた権利については仮通常実施権を許諾したものとする。」】特許法34条の3によれば, 「特許を受ける権利を有する者は, その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について, その特許出願の願書に最初に添付した明細書, 特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において, 他人に仮通常実施権を許諾することができ」(1項), 「仮通常実施権に係る特許出願について特許権の設定の登録があつたときは, 当該仮通常実施権を有する者に対し, その特許権について, 当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において, 通常実施権が許諾されたものとみなす」(2項)とされており, 実用新案法4条の2及び意匠法5条の2にも, 同様に仮通常実施権についての規定があります。そこで, ここでは, 日本における許諾特許のうち特許出願等に関し生じた権利については仮通常実施権を許諾したものとすることを明確化しています。
【独占的ライセンスとする場合】仮にライセンシーに「独占的権利」を許諾する場合には, 以下の例1(「完全独占的ライセンス」と呼ばれる場合がある)又は例2(「(不完全)独占的ライセンス」と呼ばれる場合がある)のように, その「独占的権利」の意味を明確にする必要があります。
(例1) 「独占的権利」とは,本契約に定めるライセンシーに対するライセンスの範囲内においては,「許諾技術」をライセンシーのみが実施することができ,ライセンサーは自ら実施すること及び第三者に実施許諾することはできないことを内容とする権利を意味する。 又は, (例2) 「独占的権利」とは,本契約に定めるライセンシーに対する許諾範囲内においては,ライセンサーは「許諾技術」の実施をライセンシーにのみ許諾し, ライセンシー以外の者には許諾することができないことを内容とする権利を意味するが,ライセンサーが自ら実施することを禁ずることを意味しない。 |
【第2項】ライセンシーが許諾製品の製造を第三者に委託することがライセンス違反となるか否かは重要な問題です。この点, 一定の事情のもとで違反とならないとした裁判例(例:最判平成9・10・28第185号421頁)もあります。しかし, 実務上は, 判例や解釈に頼るのではなく, 本項のように, 製造委託の可否及びその条件を契約上明記すべきです。
なお, 「製造委託先」は, 第1項第(11)号で, 「ライセンシーが許諾製品の製造を委託する会社であって, 本契約別紙2で特定されるものを意味する」と定義し限定しています。
【第3項】本項は, 「許諾地域」が複数国であり, 各国における「許諾製品」の製造, 販売は, 各国のライセンシー子会社が担うような場合に必要な条項です。「ライセンシー子会社」は, 第1項第(12)号で, 「ライセンシーが直接的又は間接的にその議決権の過半数を有する会社であって, 本契約別紙2で特定されるものを意味する」と定義し限定していますが, その会社が本契約締結時にライセンシーが議決権の過半数を有する会社であっても, その後にそうでなくなる可能性(極端な場合にはライセンサーの競合企業グループに買収等される可能性)もあるからです。
【第4項】本項では, 本条に明示された行為及び権利を除き, 如何なる行為又は権利も許諾しないこと, すなわち, 黙示のライセンスを否定しています。従って, 例えば, 第1項では許諾製品の「輸出」が挙げられていないことから, ライセンシーは許諾製品を輸出することはできません。
【技術支援】ライセンシーがライセンスを受ける目的が, ライセンサーから特許権等の行使を受けないようにすること, 言い換えれば, 当該特許権等の侵害回避である場合には不要ですが, その目的が当該特許発明の技術習得である場合には, 特許のライセンスの他, ライセンサーからライセンシーに, 技術情報の提供, 技術者の派遣, ライセンシーの技術者の受入れ及びこれに対する研修等により, 技術支援がされる場合があります。以下はその為の条項の例です。
第○条 技術支援 1. ライセンサーはライセンシーに対し別紙○記載の情報を別紙○記載の条件に従い提供するものとする。 2. ライセンサーはその技術者を別紙○記載の条件に従いライセンシーの施設に派遣するものとする。 3. ライセンサーは別紙○記載の条件に従いライセンシーの従業員に対する技術的研修を提供するものとする。 |
Q4:本契約の有効期間
A4: 以下に規定例を示します。
第3条 本契約の有効期間 本契約の有効期間は, 発効日から○年間とする。但し, 当該期間満了日の3か月前までにいずれの当事者からも別段の意思表示が書面で相手方に通知されない限り, 本契約は, 同一の条件で, 更に○年間更新されるものとし, 以後も同様とする。 |
【解 説】
上記は一般的な契約有効期間と同様の定めです。
しかし, 上記規定では, ライセンサーから更新拒否される可能性もあるので, ライセンシーが更新後も許諾技術の実施を継続したい場合には困ったことになります。そこで, ライセンシーの立場からは, 本契約の有効期間を全ての許諾知的財産権がその存続期間満了その他により効力を失うまでとするか, 又は, ライセンシーに更新権を与えることも考えられます。
Q5:ライセンス料及びその支払
A5: 以下に規定例を示します。
第4条 ライセンス料及びその支払 1. 本契約に基づくライセンスの対価として, ライセンシーは, ライセンサーに対し, 各ライセンス料計算期間中に販売された全ての許諾製品の販売価格の %のライセンス料を, 当該ライセンス料計算期間末日から30日以内に, 日本円で, ライセンサーが指定する銀行口座に電信送金することにより支払うものとする。 2. 本条に基づくライセンス料の計算及び支払に関し, 以下の各号の定めを適用する。 (1) 許諾製品がライセンシー及びライセンシー子会社の間で販売される場合, 又は, ライセンシーもしくはライセンシー子会社自身が許諾製品を使用する場合, 当該許諾製品は, 販売価格で販売されたものとみなす。 (2) 許諾製品が日本国外で販売された場合, 日本国内において販売価格で販売されたものとみなす。 (3) ライセンシー子会社による許諾製品の販売に係るライセンス料については, ライセンシーが, 当該販売に関し本条に従い計算されるライセンス料を, 本条に従いライセンサーに支払うものとする。 |
【解 説】
【第1項】ライセンス料(ロイヤリティ)の定め方は様々ですが, 一般的には以下のような方法があります。
(a) ランニング・ロイヤリティ
ライセンス料の計算期間ごとに, その間の実施状況に応じライセンス料を算出し支払う方法です。本項のように, 対象製品の販売価格に対し一定率を乗じて計算する方法や, 対象製品の個数に一定額を乗じて計算する方法があります。
(b) 固定額の一括支払い
一定の固定額を一定時期に一括して支払う方法です。契約締結当初に支払うものは, 一般にイニシャル・ペイメントと呼ばれます。
(c) ミニマム・ロイヤリティ(最低ライセンス料)
これは, ランニング・ロイヤリティの累計額の最低額が一定額に達しない場合でも, 一定額を徴収する方式です。特にライセンシーに独占的権利を許諾する場合はミニマム・ロイヤリティを設定することが多いと言えます。
(d) 上記の組合せ
例えば, 以下のような様々な組合せが考えられます。
・イニシャル・ペイメントとランニング・ロイヤリティを単純に両方別々に(追加して)支払う方法
・イニシャル・ペイメントをランニング・ロイヤリティの前払いとして, 販売実績に応じ充当していく方法
・その充当でイニシャル・ペイメントの額に達しない場合でもイニシャル・ペイメントをミニマム・ロイヤリティとして徴収する方法
・ミニマム・ロイヤリティを設定するが, ランニング・ロイヤリティの累計がミニマム・ロイヤリティの額に達しない場合にその差額をライセンス料の計算期間の終了時に徴収する方法
— 本契約では, 上記(a)のランニング・ロイヤルティのみ定めています。なお, 「ライセンス料計算期間」は, 第1条第(18)号の定義で, 「発効日以降の, 各年の3月31日, 6月30日, 9月30日及び12月31日に満了する各3ヶ月の期間を意味するものとするとし, 「販売価格」は, 第1条第(15)号の定義で, 『日本国内において, ライセンシーが独立第三者に対し許諾製品の販売の対価として請求する値引き前価格を意味し, 梱包費, 輸送費, 保険料, 消費税を含まないものとする。日本国外で許諾製品が販売された場合もかかる「販売価格」で販売されたものとみなす』としています。
【第2項】第(1)号・(2)号:ライセンシーのグループ会社間で許諾製品が販売される場合には, 一般の顧客よりも低額で販売される可能性もあり, その場合のその販売価格をそのままライセンス料計算の基準にしたのではライセンサーにとり不利になります。又, ライセンシー自身が許諾製品を使用する場合は販売価格がありません。更に, 許諾製品が日本国外で販売される場合, ライセンス料算定の基準とする「販売価格」をどうするかという問題があります。本契約では, これらの場合について, 前述の第1条第(15)号の定義の通り, 『「販売価格」とは, 日本国内において, ライセンシーが独立第三者に対し許諾製品の販売の対価として請求する値引き前価格を意味(する)』として, この意味の「販売価格」を基準としてライセンス料を計算することとしています。
第(3)号:ライセンシーが本契約に基づくライセンスを国内外の子会社に再許諾した場合に, その子会社について発生したライセンス料の支払い・徴収をどうするかという問題があります。ここでは, ライセンシーが, 自己について発生したライセンス料と合わせ, その子会社について発生したライセンス料をライセンサーに支払うこととしています。
Q6:ライセンス料の報告
A6: 以下に規定例を示します。
第5条 ライセンス料の報告 1. ライセンシーは, 各ライセンス料計算期間末日から30日以内に, ライセンシーを代表する権限ある者が作成したライセンス料に関する報告書(以下「ライセンス料報告書」という)をライセンサーに送付するものとする。ライセンス料報告書には, 該当のライセンス料計算期間中に販売された許諾製品の数量及び販売価格, それらに基づき計算されたライセンス料の額, その他両当事者が別途合意する事項が記載されなければならない。 2. 前項によりライセンシーがライセンサーに提出すべきライセンス料報告書には, ライセンシー子会社による許諾製品の販売について生じたライセンス料についても前項と同様の事項を記載しなければならない。ライセンシーは, 当該記載に必要な情報をライセンシー子会社から収集し, ライセンス料報告書に正確に反映させなければならない。 3. 本契約に従いライセンサーに支払われたライセンス料は, 許諾特許の無効その他事由の如何を問わず, 返還されない。但し, ライセンス料の計算違いによりライセンス料が過剰に支払われ, ライセンサーがそのことをライセンス料支払から1か月以内に証明した場合, ライセンサーはその差額を速やかに返還するものとする。この場合, かかる差額に利息は付さない。 |
【解 説】
【第1項】ライセンス料について, ライセンシーからライセンサーに提供すべき報告書についての規定です。
【第2項】ライセンシーが, ライセンシー子会社による許諾製品の販売について生じたライセンス料の分も含めてライセンサーに報告するという趣旨です。
【第3項】上記条項例では, ライセンサーの立場から, 一旦支払われたライセンス料は「許諾特許」が無効等になっても返還されないものとしています。ライセンシーは無効等になった時点まではライセンサーから特許権行使を受けることなく当該特許発明を実施することができ, そのことにより利益を得ていたという理由からです。
Q7:監査権
A7: 以下に規定例を示します。
第6条 監査権
1. ライセンシーは, 各ライセンス料計算期間の満了日から3年間, 該当のライセンス料計算期間中に販売された許諾製品の数量及び販売価格, その他ライセンス料報告書の記載内容の根拠となった会計帳簿その他の資料・情報(前条第2項に従いライセンシー子会社から収集した情報を含む)(以下「会計帳簿」と総称する)を他の会計帳簿・資料・情報と分離して一箇所に保存するものとする。 2. ライセンサーは, ライセンス料が本契約に従い適正に支払われたかを検証する為, ライセンサーの費用負担で, ライセンサーの指定する従業員又は外部の公認会計士により, 会計帳簿を検査すること, 及び必要に応じライセンシーに対し関連情報の提供又は聴取を求めること(以下これらを総称して「監査」という)ができるものとする。 3. 監査は, 該当のライセンス料計算期間末日から3年以内に, 1暦年につき最大1度に限り, ライセンサーからライセンシーに合理的な予告をした上, ライセンシーが会計帳簿を保存している場所でライセンシーの営業時間内に行われるものとする。 4. ライセンサーは, 監査の過程で知り得たライセンシーの情報を, ライセンス料が本契約に従い適正に支払われたかを検証する為にのみ利用するものとし, かつ, 第10条に従い秘密情報として扱うものとする。 5. ライセンサーは, 監査終了後速やかにライセンシーに対し監査の結果を書面で通知するものとする。監査により未払いのライセンス料があることが判明した場合, 当該未払い額には, その本来の支払期限から実際の支払日迄の期間について年14.6%の遅延利息を付すものとする。ライセンシーは, 当該未払い額及び遅延利息を, 監査結果受領後30日以内に, 日本円で, ライセンサーが指定する銀行口座に電信送金することによりライセンサーに支払うものとする。 6. 監査の結果, 該当するライセンス料計算期間に関して実際に支払われたライセンス料が本来支払うべきライセンス料の5%以上少ないことが判明した場合, ライセンサーは, 自己が負担した監査費用の支払いをライセンシーに請求できるものとし, ライセンシーは, ライセンサーからの請求後30日以内に当該費用をライセンサーに支払うものとする。なお, その支払遅延に関しては, その本来の支払期限から実際の支払日迄の期間について年14.6%の遅延利息を付すものとする。 |
【解 説】
【第1項】ライセンサーの立場からすれば, (ランニング・ロイヤリティ方式の)ライセンス料が契約通り支払われることを担保するには, 監査権が不可欠です。第1項では, その監査を行う前提として, ライセンシーに対し, 一定期間, ライセンス料及びその計算根拠に関する正確な会計帳簿等を他の帳簿等と分離して作成・保存することを義務付けています。
【第2項・第3項】監査は, ライセンサーの立場からすれば, 予告なく, 又, いつでも行えるようにした方が有利ですが, 一般には, ライセンサー側の業務に必要以上の負担・支障が生じないよう, ライセンサーに事前予告を義務付け, かつ, 回数も制限することが多いと言えます。又, ライセンサーがいつまでも過去に遡り監査できるとすると, ライセンス料支払の法的関係が安定しないので, 一般には, 本項のように, 監査可能な期間を制限します。
【第4項】ライセンサーが, 監査の過程で知り得たライセンシーの情報について秘密保持義務を課しています。
【第5項・第6項】監査の結果, ライセンス料の支払い不足が判明した場合の取扱いについて定めています。
第5項では, ライセンシーに対し, 未払いライセンス料を, 年14.6%の遅延利息を付して支払う義務を負わせています。なお, 「年14.6%」というのは, 国税通則法(60(2))に定める国税の延滞税の割合であり, 又, 下請法第4条の2及び同規則に定める買主の代金支払遅延に対する遅延利息の利率です。民法の法定利率[1]は現在(2023年4月1日~2023年3月31日)3%であり, ライセンシーとしては, 引下げを交渉したいところでしょう。
第6項では, 更に, 不足額が多い場合には, 本条第2項によりライセンサーが一旦自己負担した監査費用をライセンシーに負担させることとしています。なお, このことも, ライセンシーにライセンス料の報告・支払いを適正にさせるための一手段と言えます。
今回はここまでです。
以 上
[1] 【民法の法定利率】民法404条に定める「法定利率」は, 改正民法施行(2020年4月1日)後は3%(改正前の民事法定利率年5%および商事法定利率年6%は廃止)となり(404(2)), その後, 3年ごとに日銀が公表する短期貸付金利の過去5年間の平均が1%以上変動すれば 1%刻みで変動することになった(民法404(3)~(5))。現在の法定利率については, 法務省「令和5年4月1日以降の法定利率について」参照。
[2] 【「特許権等に関する訴え」の裁判管轄】 (参考) 最高裁判所「知的財産権訴訟の管轄について」
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【免責条項】
本コラムは筆者の経験にもとづく私見を含むものです。本コラムに関連し発生し得る一切の損害などについて当社および筆者は責任を負いません。実際の業務においては,自己責任の下,必要に応じ適宜弁護士のアドバイスを仰ぐなどしてご対応ください。
【筆者プロフィール】 浅井 敏雄 (あさい としお) 企業法務関連の研究を行うUniLaw企業法務研究所代表/一般社団法人GBL研究所理事 1978年東北大学法学部卒業。1978年から2017年8月まで企業法務に従事。法務・知的財産部門の責任者を米系(コンピュータ関連)・日本(データ関連)・仏系(ブランド関連)の三社で歴任。元弁理士(現在は非登録)。2003年Temple University Law School (東京校) Certificate of American Law Study取得。GBL研究所理事, 国際商事研究学会会員, 国際取引法学会会員, IAPP (International Association of Privacy Professionals) 会員, CIPP/E (Certified Information Privacy Professional/Europe) 【発表論文・書籍一覧】 |
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