考えようマタハラ対策!!
2015/09/30 労務法務, 労働法全般, その他
1 概要
マタハラとは、「マタニティーハラスメント」の略で、妊娠・出産、育児休業などをきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、解雇や雇い止め、自主退職の強要など不利益を被ることを指す。平成26年10月23日の最高裁判決では、人事裁量権の問題ではなく、男女雇用機会均等法(以下、均等法とする)9条3項の不利益禁止の問題であると述べ、合理的な理由なく妊娠・出産、育児休業等による降格は違法と判断している。この最高裁の判断をベースに平成27年1月には厚生労働省は妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達を出している。そこで、話題となっているこのマタハラ問題について企業がどのような対策をとるべきかにつき取り上げる。
2 マタハラになる行動
男女雇用機会均等法9条3項の不利益取扱い禁止は、解雇・雇止めなど雇用契約の解除、降格、賃金・賞与の減額、不利益な配置、昇進・昇格の不当な評価、就業環境を害するなど広く企業側の行為を禁止する内容となっている。そうであれば、マタハラ行為となるのは、妊娠・出産、子育て中の労働者に対して、「解雇、雇い止め、契約更新回数の引き下げ、退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要、降格や減給」を行うことである。また、「賞与等における不利益な算定、不利益な配置変更、不利益な自宅待機命令、昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う、雑務をさせるなどの就業環境を害する行為をする」ことも含まれる。
3 企業側の取る行為
均等法11条によって、セクハラの予防と事後の迅速・適切な対応について具体的な対策を実施することが企業の義務となっている。そのため、まずは、どような行為がマタハラ行為にあたるかについて認識することが重要である。そして、マタハラは、セクハラ行為と同様の職場環境問題でありハラスメントの1類型にあたる。そこで、セクハラ問題対策を参考にして、事業主のマタハラに対する理解や方針を明確にし、それを周知・啓発することが必要と考える。また、マタハラの内容及びマタハラを行った場合の懲戒についての規定を制定し、それを従業員への周知・徹底することや、相談窓口を作る等女性が声をあげやすい環境作りをすることが考えられる。
4 コメント
マタハラを理由として退職したことが退職者により吹聴されれば、企業のイメージダウンとなり、より優秀な人材の確保ができなくなるおそれが高いだけでなく、少なからず顧客の獲得にも影響が出てくると考えられる。このような事態を避けるためにも、企業側は、企業側がとるべき行為を行い、企業のイメージアップに繋げると共に、「頑張る人がより頑張れる環境作り」に努めることが期待される。
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