(続)公法上の違法行為の私法上の効力について
2011/03/23 契約法務, 行政対応, 民法・商法, その他
前回、緊急事態に対処する法律を制定する意義を書いたが、地震被害において、公道に津波に流された他人の自動車が留置されている場合には、行政庁は勝手にその自動車を動かしたり、壊してどかしたりは出来ないのである。私道についても同様である。自動車は「財物」であり、他人の財産であるからそれを壊せば器物損壊、盗めば窃盗罪である。
しかし、津波被害によって、流された自動車は水につかっており壊れて使えない。動かす際に車に傷をつけたくらいで文句を言う人間は緊急事態においてはいないのである。行政庁も重い腰をあげ、一見して財産的価値がないものは公道外に動かしても罪や賠償責任に問われることはないとの解釈を示したようであるが、個人が思い入れが強い無価値物については判断に窮することになる。そこで、特別措置法を制定して、行政庁の保管責任の免除を含めて私人の財物の所有権の主張をさせないようにするべきである。
このような事態は阪神大震災で我々は実際に経験したはずであるのに未だ緊急時に対処する法律がないのはおかしいのではないか。永田町の住人を選んだ我々国民の責任でもある。
参照リンク
- 東日本巨大地震:被災車両、財産権に阻まれ撤去できず(リンク切れ)
- がれき撤去、特別立法も 所有権足かせ、復旧妨げ回避へ(リンク切れ)→アーカイブ
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