下請業者に現金払いしたら違法に~case株式会社アマガサ
2015/04/15 コンプライアンス, 下請法, その他
事案の概要
株式会社アマガサは、下請業者に対して百貨店や自社店舗で販売する婦人靴の製造を委託していたが、下請代金支払いの際、何らかの事情で、本来の手形での支払の代わりに支払総額のうち半額を現金で支払い、現金払いした分から下請代金を減額していた(差額は手形の利息にあたると思われる)。この行為が、下請代金の減額にあたると公正取引委員会に判断された。
「減額」の例
今回、下請代金の減額があるとして下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)7条に基づき勧告措置が行われた。
ここ数年、下請法の違反として公正取引委員会に勧告されたもののうち、ほとんどがこの下請代金の減額が理由である(26年:7件/8件、25年:10件/12件、24年:21件/21件)。
例えば、
・「基本リベート」として、下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、代金を減額させていた(他、「歩引」、「事務手数料」など名目は様々)。
・代金を金融機関口座に振り込む際に、下請代金の額から振込手数料を超える額を差し引いていた。
・代金を下請事業者の金融機関口座に振り込む際の振込手数料を下請代金から差し引くとしていたところ、インターネットバンキングを利用することによって振込手数料が下がった後も、従来通りの振込手数料を差し引いていた。
・返品に係る送料を負担させていた。
などの例がある。
コメント
下請業者との間で事前に支払手段を手形と定めていて、後に下請業者の希望によって一時的に現金で支払うという場合。当初の下請代金の額からその期間分の利息に相当する額(短期調達金利相当額)を超えて減額すれば、下請代金の減額として下請法4条1項3号の規定に違反する。
なお、一時的にではなく常に現金で支払うという場合には、支払手段を現金払いとして下請法3条により交付を義務付けられた発注書面(3条書面)を交付しておけば、違反しない(「4 関連サイト」に引用した契約書例を参考のこと)。「この場合でもやはり、3条書面に記載した下請代金の額から割引料相当額を差し引くことは下請代金の減額として下請法4条1項3号違反となる可能性がある。したがって、3条書面を作る場合には、予め下請業者と十分な協議をして、現金払いに見合う単価設定をする必要がある。
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