契約解除のセブンイレブンで審尋、仮の地位を定める仮処分について
2020/02/03 訴訟対応, 民事訴訟法
はじめに
フランチャイズ契約が解除されたセブンイレブン店舗のオーナーが契約解除は無効として仮処分を求めていた問題で27日、大阪地裁で双方の言い分を聞く審尋が行われました。裁判所内で非公開で行われたとのことです。今回は民事保全法の仮処分手続きについて見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、セブンイレブン東大阪南上小阪店は人手不足を理由に昨年2月から本部の許可無く24時間営業を取りやめていました。しかしこれについて本部には利用客からクレームが多く寄せられていたとされ、昨年12月末に同店舗とフランチャイズ契約を解除しました。これに対し元オーナーの男性は契約解除は無効であるとしてオーナーの地位確認を求める仮処分を申し立て、また本部側も建物明け渡しを求める仮処分を申し立てていたとのことです。今月27日、裁判所は双方の言い分を聞く審尋を行いました。
仮処分とは
民事保全法では、訴訟の判決が出るまで待っていられない場合に「仮に」権利を実現したり、現状を維持させる処分が規定されております。①金銭債権の保全する仮差押、②金銭債権以外の権利を保全する係争物に関する仮処分、③争いのある権利関係の暫定的措置である仮の地位を定める仮処分に分かれます。あくまでも本訴訟の判決が出るまでの仮の措置であるので、本訴訟を提起して勝訴しなければ覆ることとなります。
仮の地位を定める仮処分
係争物に関する仮処分は、例えば不動産等の登記等を禁止する処分禁止の仮処分と他人への明け渡しを禁止する占有移転禁止の仮処分があります。それに対し仮の地位を定める仮処分は金銭債権の保全や係争物に関する現状維持以外のあらゆる権利関係を保全するための措置です。解雇された労働者の地位や賃金の支払い、名誉毀損的な内容の本の出版の差し止め、交通事故の損害賠償、違法工事の差し止めといった事例で使われることが一般的です。原発の運転差し止めや取締役の職務執行の差し止めといった場合にも利用されます。
仮処分の手続き
仮処分が認められるための要件は、①被保全権利の存在、②保全の必要性です。これらを明らかにする疎明資料とともに申し立て書を本訴の管轄裁判所に提出します(12条、13条)。申立人、場合によっては相手方に対して審尋がなされ、要件を満たしていれば仮処分命令が「決定」で出されます。却下された場合は申立人は2週間以内に即時抗告をすることができ(19条1項)、命令が出された場合は相手方は保全異議を申し立てられます(26条)。また申立人が本訴を提起しない場合や、その後の事情の変更で保全が必要なくなった場合などに保全取消申立ができます(37条)。
コメント
本件ではセブンイレブンの店舗と本部がフランチャイズ契約の解除について争っており、店舗のオーナー側はオーナーとしての地位確認を求める仮処分申立を行っております。金銭債権の仮差押や係争物に関する仮処分といった、相手方に知られると仮処分命令が出る前に消費や売却がされてしまうといった密行性のある場合ではないことから、仮の地位を定める仮処分では相手方に対しても審尋が行われます。本件でも双方の審尋が行われ今後裁判所の決定が待たれることになります。以上のように民事保全法の仮処分はあらゆる紛争で本訴に先立って利用されております。こちら側が原告となる場合でも利用する機会は多いと言えます。また逆に相手方から仮処分の申立がなされた場合は審尋での主張や保全異議、保全取消によって対抗していくこととなります。要件や手続きを把握しておくことが重要と言えるでしょう。
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