フワちゃんのやす子さんへの不適切発言、GoogleはCM動画非公開に/起用タレント炎上時の対応
2024/08/09 契約法務, コンプライアンス, 危機管理, 広告法務
はじめに
アメリカのIT企業 Googleの日本法人、グーグル合同会社は2024年8月6日までに、タレントのフワちゃんが出演するスマートフォンのCM動画を非公開にしました。
フワちゃんは8月4日の深夜にSNS「X」でお笑いタレントのやす子さんの投稿に対して不適切な言葉を含んだ投稿を実施、いわゆる炎上状態となっていました。グーグル側はこの投稿を問題視したとみられています。
フワちゃん不適切発言で企業が対応
YouTuberでタレントのフワちゃんは8月4日深夜、Xで不適切とされる内容を含んだ投稿を行いました。投稿はお笑いタレント・やす子さんの投稿を引用する形で行われたことから、やす子さんに対するものだとみられています。
フワちゃんはすぐに当該投稿を削除しましたが、投稿したスクリーンショットがSNS上で拡散されました。
その後フワちゃんは、自身のXアカウントで「今ここで皆さんに報告することではないのですが、言っちゃいけないこと言って、傷つけてしまいました。ご本人に直接謝ります」と謝罪する意向を示し、8日夜には、やす子さんに直接謝罪を行った旨を報告しました。
フワちゃんは企業CMやラジオ番組などに出演しており、関連企業が今回の騒動に対する対応を発表しています。
まず、株式会社ニッポン放送は、8月5日に放送予定だったラジオ番組『フワちゃんのオールナイトニッポン0』を休止。番組のX公式アカウントは「昨日SNSにてパーソナリティによる不適切な投稿が確認できたため、休止致します」と説明しました。
さらに、フワちゃんがCM動画に出演しているグーグルも対応を行っています。
フワちゃんは2022年10月からスマートフォン「Google Pixel」のCM シリーズ「#TeamPixel」に出演しており、これまでに複数パターンのCMに登場していました。しかし、騒動を受け、2024年8月6日以降、グーグルはフワちゃんが出演するCM動画を非公開としました。グーグルはこの対応について公式な説明は行なっていませんが、一部の取材に対し、
「他者を尊重しない行為に関しては厳格なポリシーを有しています。この度は該当するタレントを起用したGoogle Pixelで展開している広告・販促物などの掲載を停止いたしました。契約関係につきましては、今後、Googleのポリシーに沿って適切に判断いたします」
とコメントを発表しています。
タレント起用のリスクと企業の対応
昨今の広告媒体の多様化に伴い、企業において、テレビで活躍する芸能人やSNSを中心に活動するインフルエンサーなど、多彩なタレントを広告で起用する場面が増えています。
こうしたタレントの起用は、タレント自身の発信力の高さも相まって、製品やサービスなどに対する認知拡大を得られるメリットがあります。一方で相応のリスクもあるため、注意が必要となります。
例えば、起用したタレントにおいて、
・差別的、侮辱的な発言
・ハラスメント行為
・不倫や薬物などのスキャンダル
・過去の問題発言の掘り返し
などが確認された場合、SNSを中心に炎上トラブルに発展するおそれがあります。その場合、同タレントを広告起用している企業のイメージダウンにもつながりかねません。
実際、2023年9月にある民間企業が行った『不祥事に関連するタレントが広告に出ていた時に関する意識調査』によると、不祥事を起こしたタレントが出ている広告の広告主に対して印象が悪いと感じる割合は74%にのぼったといいます。
さらに、不祥事を起こしたタレント個人にとどまらず、“不祥事を起こした芸能事務所のタレント”を起用しているだけで、約40%が広告主に悪い印象を抱くという結果も出ています。
不祥事に関連するタレントが広告に出ていた時に関する意識調査(株式会社オンジン)
そのため、タレントの広告起用時には、事前のスクリーニングはもちろんのこと、タレントが不祥事を起こした場合の事後対応も含め、多方面からあらかじめ準備・検討しておく必要があります。
【企業ができる対応例】
(1)事前対応
・過去のSNS投稿やインタビュー内容の精査
※外部企業へ委託してのリスク調査も選択肢に
・アンチユーザーの数や属性傾向の調査
(2)事後対応
・広告起用後のタレントSNSのモニタリング
・炎上後の出演CMの中止、広告取り下げ、出演作品の放送見送り、出席予定イベントの参加見送り、タイアップ商品・サービスなどの販売中止、
・企業としての指針やスタンスの表明
コメント
想像以上の余波を生んだ、フワちゃんの炎上投稿。近年の炎上では、個人による不祥事が、“特定の社会問題を象徴する事例”として、社会問題と絡めて大きく議論を呼ぶケースが少なくありません。
実際、今回のフワちゃんの投稿に対し、学校内などにおける「いじめ」と紐づけて問題視する声もみられました。
それだけに、炎上したタレントを広告で起用し続けた場合、ある社会問題に対して、特定の立場をとっていると、ユーザーに誤解されるリスクがあります。
企業としては、炎上がどのような社会問題と紐づいているのか、早期に分析したうえで、企業としてのスタンスを明確に示す必要がありそうです。
関連コンテンツ
新着情報
- まとめ
- 株主総会の手続き まとめ2024.4.18
- どの企業でも毎年事業年度終了後の一定期間内に定時株主総会を招集することが求められております。...
- セミナー
- 五反田 美彩 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第一東京弁護士会所属)
- 林越 栄莉 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第二東京弁護士会所属)
- 【オンライン】インフルエンサーに必要な法務知識とは?
- 終了
- 2024/11/27
- 12:00~13:00
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- ニュース
- 青森市内の2社を書類送検、労災隠しとは2025.1.9
- NEW
- 青森労働基準監督署は7日、従業員が労災で休業したにもかかわらず報告していなかったとして、青森...